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平原慎太郎(NDFF総合ディレクター)より
「NDFFについて」
肉体は人間同士の共通の所有物であり、生まれついてより死の直前まで共にする自己とも言える生命の母体である。
大袈裟にいうと私は身体をそう捉えております。
突然の主観にはなりましたが、その考えの元でいくとダンスとはその共通の母体を持つもの同士の呼応や、共鳴を可能にするコミュニケーションツールとしての側面も持つのではないかと考えています。
時代が進みテクノロジーが発達して、できること、知ることがより広くなり、生命の母体である肉体が更に可能性の領域を広げるようになったと言えます。それにより、踊りを見る機会も、古来では目の前で見るものだったのが、記録されてるものを見る時代へと変容し、そして自分で踊りを作りそしてそれを作品として収録できる時代になりました。それは誰しもがテクノロジーを使用し、クリエイターとなれる時代になったことが一つのきっかけとなっています。
しかし更に時代が進み、現在私たちは「誰もがクリエイターになれる時代」から、「誰が、どうやって作ったのか」かが改めて問われる過渡期に立っています。作ることが容易になったからこそ、その作り手の存在そのものが問われる。
今、私たちはもう一度、肉体というものに視線を戻す時代を迎えているのだと思います。
2026年。2000年から四半世紀経った現在でも、やはり人類は世界で戦争や侵略を止められず、貧富の差が広がり、個人の権利が脅かされ、男女平等を目指しながら事実上は中々実現しないような、新しい時代とは呼びきれない、停滞しているような現状の只中にいるかもしれません。
が、自分の周りで見てみれば、世界の情勢を大手のメディアに頼らず知ることができ、街のLEDパネルでダンスの映像が流れ、携帯で世界の踊りが容易に見れるような時代になったのもまた事実です。そしてこれは地域という特性をある意味で強くしました。つまり、ローカルエリアにも世界に知られるアーティストが存在しやすくなり、また一方どこに居ても世界の作品が見れるという意味では住む場所は関係なくなってきたといえます。
地域が持つ特性を発揮し、他の地域と結びつきながら、独自の世界を築き上げていくこともまた、この時代における一つの可能性だと考えています。
札幌というこの恵まれた土地で、ダンスフィルムとダンス写真を集めてみなさんに紹介する。そしてその楽しみ方を様々な方の話を聞いて自分に取り入れる。最後には生のダンスをみて自分も参加し、それすらも映像で記録し後世に残る体験をする。この連鎖は、生きた札幌の文化形成の一部になるのではないかと考えております。
札幌の感性と環境が世界のアーティストと出会うこの機会を作ることはそう言った意図があります。
Northern Dance Film Festival(NDFF)総合ディレクター
平原慎太郎
【平原慎太郎】
ダンサー/振付家。振付・演出など舞台芸術における空間構成全般を創作する作家として活動シアターカンパニーOrganWorksを主宰する。ストリートダンス・バレエなどの舞踊メソッドを日本語の舞と踊りという解釈で捉え、内向的(過去)な意識下と外向的(未来)な身体を用いて、それを包括する社会が抱える諸問題に連結した作品創作を目指す。
2013年文化庁新進気鋭芸術家海外研修派遣にてスペインに9ヶ月研修
2015年小樽市文化奨励賞受賞。
2016年トヨタコレオグラフィーアワードにて振付家賞、オーディエンス賞をW受賞
2017年日本ダンスフォーラム、ダンスフォーラム賞受賞
2021年TOKYO2020オリンピック開閉会式振付担当
2022年「浜辺のアインシュタイン」ミュージック・ペンクラブ現代音楽部門年度賞受賞
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